

こんにちは、笠井です。
前回は、彼のハートブレイク(心の傷)に焦点を当てて、彼が「しごと男」になってしまう理由をお伝えしました。
ですが、この分析でまた、「合わせる女」に磨きをかけないでくださいね。
それでは、なにも変わらないんです。
これは、「私は愛されていない」というあなたの誤解を手放すために、お伝えしたものだからです。
今回は後編として、
「ふたりがハートブレイクを越えて、もっと深く親密になるための愛のコミュニケーション」についてお話をしたいと思っています。
ポイントは、あなたの愛は偉大であり、彼はそれをとても必要としている、ということです。
最後まで、お付き合いいただけたら幸いです。
◆無意識に翻弄される私たち
たとえば、こんなカップルがいたとします。
男性(しごと男)──
過去のパートナーとは、いつも些細なことですれ違ってきました。
「私の気持ちを全然わかってくれない」とか「愛していない」とか責められて、毎回、どうしてあげればよいのかわからなかった。
今は、もう二度と、あんなふうに感情をぶつけられたくないし、文句を言わず、自分を受け入れてくれる女性が理想だと思っています。
一生懸命に仕事して、社会的責任を果たせるようになる方が、ぼくは大切な気がするんです。
一方、女性(合わせる女)──
今までの元カレに、自分の本音やワガママを伝えてきて、「重い」と振られてきました。
今は、自分の気持ちを表現することが怖いかもしれません。嫌われたくないですし。彼の応援もしたいんです。
だから、彼が気持ちを察してくれて、大切に尽くしてくれる男性だったらいいのになって、心のどこかで願っています。
「しごと男」と「合わせる女」のパートナーシップ──ある意味、お互いにハートブレイク(心の傷)に触れずにすんでいるので、〝安定の状態〟と言えるかもしれませんね。
これは、あなたと彼の、心の奥での平和合意のようなものです。
でも愛し合っているのなら、お互いにもっと親密になって近づきたくなりますよね。
では、この「安定」を崩してまで距離を縮めようとするとき、ふたりの間には一体なにが起こると思いますか?
──とても自然なことですが、自分は過去の痛みに触れないまま、相手がハートブレイクを乗り越えて、愛してほしいと期待してしまうのです。
つまり、この関係が前に進んでいかない理由が相手の中に見えてしまうのです。
言葉にすると、ちょっとズルいようにも感じますが、人間みんな、こんなところがあるものです。
「合わせる女」のあなたの期待は、彼が仕事の手を置いて、自ら愛を表現しにきてくれることじゃないでしょうか。
これはご自身のことだから、わかりますよね。
では、「しごと男」の彼は、あなたになにを期待しているのでしょうか。
合わせてくれる彼女なんて、男性にとって都合がよいように思いますが。
ですが実際、あなたが思いを口に出さなくても、表情や空気感から相手に伝わってしまうことがあります。
心は共鳴するんですね。
「しごと男」になるような男性は、甘えることを自分に禁じ、自分で自分を厳しく律して生きています。
だからこそ、あなたの中にある「本当は甘えたい」「察して受け止めてほしい」というサインを感じ取ったとき、彼自身の心の奥にある依存心までが共鳴してしまい、耐え難くなって距離を取ってしまうのです。
彼の心の声を言葉にするなら、
「お互いに自立して、心地よい距離感で尊重し合いたい」
こんな感じかもしれません。
お互いに「相手に変わってほしい」と期待するのですが、求められる側は「あなたの問題なんだから、あなたが解決して」と突きつけられたように感じ、強く反発します。
そして皮肉にも、お互いが「問題は相手のほうだ」と思っているのです。
不思議ですよね。
こちらはただ「愛してほしい」と純粋に期待しているだけ。
なのに、相手は全然違うことを感じ取っている。
パートナーシップには、よく起こることです。
しかも、私たちのハートブレイクは、一つや二つではありません。恋愛に限らず、誰もが無数に、大なり小なりのトラウマを抱えて生きています。
到底、頭で考えて解決できる範疇にはありません。
愛し合っているふたりであっても、思うほど簡単には距離が縮まっていかないのです。
それはまるで、闇夜の中で、ふたつの魂が手探りで互いを探し求めているようなものなのです。
◆愛し合いたいから、葛藤する私たち
私は、パートナーシップを深めるということは、どうしても葛藤を伴うものだと思っています。
「もっと深く愛し合いたい」と願ったからこそ、皮肉にも、癒すべき過去のハートブレイクが、ふたりの目の前に姿を現すのです。
お互いが同時に過去の傷に触れてしまい、とても愛せるような心境ではなくなってしまうこともあるでしょう。
心穏やかなとき、私たちは自然と愛を表現できているのかもしれません。
ですが、互いが過去のハートブレイクにのみ込まれている渦中では、そうはいきません。
「私は愛し合いたかったのに、壊したのは相手だ」
そうやって相手を責めたくなるほどの怖さや痛みの前で、私たちは真っ先に「愛」を手放してしまうのです。
「天国には、ふたりでしか入れない」
という言葉があります。
どちらか一人だけが我慢しても、どちらか一人だけが正しくても、そこには辿り着けないのです。
パートナーシップがお互いの成長のためにあるというのは、まさにこのことなんですね。
もしあなたが、彼とふたりでその扉を開いていきたいのなら──
今こそ、新しい一歩を踏み出すときなのかもしれません。
だからこそ、この感情の嵐の中では、意識して愛を伝えていくのです。
愛なき場所では、この嵐はあまりに過酷ですから。
あなた自身も苦しいとき、それは決して簡単なことではないかもしれません。
それでも嵐の中で、意図して愛を届けようとする。
その一歩それ自体が、すでに「偉大な愛」そのものなのです。
◆私たちにできること──それは意識的な愛のコミュニケーション
「愛のコミュニケーション」とは、穏やかで幸せなときに交わす、甘い言葉やスキンシップのことだけではありません。
もし、あなたが「合わせる女」を手放そうとしたときに、ふたりの間に険悪な空気が流れたり、彼が殻に閉じこもってしまったとしたら──
そのとき、どうやって「愛を選択」すればいいのでしょうか。
まず、うまく話そうとする必要はありません。
人はハートブレイクの渦中にいるとき、どんな言葉もトゲになって届かないことがあるからです。
──でもそんなとき、あなたが愛を表現すれば、それだけは彼のハートに届くのです。
一度、自分のこととして想像してみてほしいのです。
あなたが彼と激しくすれ違い、心が苦しくて、どんな言葉も耳に入らないとき。
そんなときに、彼からこう伝えられたらどうでしょうか。
「それでも、君を大切に思っているよ」
たとえすぐには素直になれなくても、その言葉は心の奥深くに、じんわりと染み渡るのではないでしょうか。
彼もまったく同じなのです。
そのときの態度は冷たいかもしれませんが、あなたが差し出した愛に触れたとき、彼のハートもまた、ふたりの愛を思い出すのです。
彼もあなたも、過去の傷に苦しんでいるだけなのです。
ふたりは本当は、愛し合いたくてこうなっているのですから。
ほんの小さな「愛のサイン」で十分です。
感情が入らなくても大丈夫。表現することが「愛」なのですから。
「愛している」とだけ、伝えてみる。
──純粋な想いが届くはずです。
「あなたの助けが必要なの」と、彼を頼ってみる。
──お互いの競争を手放す、大きな助けになります。
「今は私も冷静になれないけれど、あなたを大切に思っている」と、素直な気持ちを差し出してみる。
──関係を切るつもりはないこと、そして彼への感謝が伝わります。
メモやLINEであっても構いません。
長く話す必要もありません。つい自分の言い分など、愛以外の言葉が混ざってしまいますから。
感情の嵐の中で、意図して愛を選ぶこと。
あなたの愛のコミュニケーションが、ハートブレイクにのみ込まれた彼を照らす「灯台の光」になるのです。
その光を受け取った彼は、今度はあなたが嵐の中で苦しんでいるとき、そっと愛を返してくれるかもしれません。
そうやって何度も葛藤をくぐり抜けるたびに、ふたりの間には「私たちは、どんな嵐も越えていける」という深い信頼が生まれていきます。
そしていつしか、「しごと男」でも「合わせる女」でもない、まったく新しいふたりだけの絆を育んでいくのです。
それは、今はまだ想像もつかないような、温かく自由なパートナーシップの形が、ふたりを待っているのです。
そしてもうひとつ。
あなたの心が穏やかなときに、実践してほしいことがあります。
あなたが〝してほしいこと〟を伝えてみてください。
ワーカホリックになりやすい男性ほど、相手の感情を察することが苦手です。
「言わなくてもわかってくれるはず」という期待は、残念ながら、ほとんど届きません。
だからこそ、
「私はこうしてほしい」「こうされたら嬉しい」
というあなたの言葉が必要になります。
それは、あなたのわがままではありません。
むしろ、あなたを喜ばせる方法がわかって、彼にとっては助かるのです。
そして、あなたがお願いしたことを彼が実際にしてくれたなら、
あるいは、彼が自分から差し出してくれた、どんなに小さな愛情であっても、
そのとき、「ありがとう」と伝えます。
この小さな往復が、
彼の中に眠っていた「ヒーロー」を立ち上がらせていきます。
彼は、こういう女性を手放したりはしないでしょう。
◇終わりに
最後にひとつ。
「どうぞ、あなた自身の〝光〟をなくさないでください」
交際当初、彼は光を放っていました。
優しかったり、頼もしかったりしたでしょう。
あなたは、その光に惹きつけられましたよね。
同じように、あなたも光を放っていたんです。
それは、母性だったかもしれないし、屈託のない明るさだったかもしれません。
彼はその光に惹きつけられたのです。
ときに、
「この光はニセモノで、本当の私ではない」と、隠してしまいたくなることがあります。
でも──それは違うのです。
それは、たしかにあなたの才能で、あなたが世界を愛するために天から託されたものです。
どうぞ、彼の中に眠る「ヒーロー」を目覚めさせ、愛され、守られますように。
そして、その「ヒーロー」に愛を送り続けられますように。
笠井 大雅

