こんにちは、笠井です。
パートナーシップのご相談を受けていると、ある質問を本当によく伺います。それがこんなにも多いものかと、一人の男性としてハッとさせられるのです。
「彼は、私のことを愛していると思いますか?」
「大切にされていない気がするんです。パートナーの本音を知りたいのですが、男性の心理を教えてください」
本当は、聞きたい。でも、聞けない。
──その一言を、私はこれまで、たくさんの方から聞いてきました。
今日は、あなたのその不安が、静かにひっくり返るお話をしていきます。
パートナーの気持ちがわからないのなら、あなたの中に、まだ話せていない気持ちがあるのです。
◆愛されていない、という不安の正体
「愛されていないのかも」
そう感じていても、それを肝心のパートナー本人には打ち明けられない。
彼の気持ちを知りたいのなら、本当は私たちカウンセラーではなく、彼に直接尋ねてみるのが一番の近道です。
けれど、どうしても「聞けない」と立ちすくんでしまう。
コミュニケーションの不足と言ってしまえば、それまでです。
とはいえ、その心の奥には、こんな思い込みが潜んでいることが少なくありません。
「どうせ愛されていないに決まっている」
「私が我慢しなければ」
もちろん、彼に気持ちを聞けないのには、あなたなりの切実な背景がありますよね。
過去に、自分の気持ちを伝えて、「重い」と言われた。
もともと、自分のことより、相手を優先してしまう。
あるいは、今の関係を壊したくない、という思いが強すぎる。
そもそも日本の男性には、素直に愛情表現ができる人は決して多くありません。
そうしたことが積み重なれば、「聞けない自分」になってしまっていても不思議ではありません。
「彼に嫌われないこと」をまず第一に考えれば、耐え忍ぶしかないと思ってしまう。
その気持ちは、十分に理解できます。
けれど、その我慢を、少し別の角度から見てみると──
言いたいことを、ぐっと飲み込む。彼の機嫌を、先に読む。それでも、笑顔でいる。
あなたがしてきたのは、ただの我慢ではありません。それは、あなたなりの、見えない努力でした。
声に出せない分だけ、誰にも気づかれない努力です。
◆「彼に期待し過ぎてしまう」という罠
我慢一択になってしまうと、どうしても弊害が出てきます。
それは、「私からはどうしても聞けないのだから、彼から気持ちを表現してくれないと困る」という、あなたの都合です。
その都合は、無意識にどんどん膨らんでしまう。
つまり、我慢すればするほど、パートナーへの期待は大きくなっていくのです。
あなたはどうでしょうか。
彼のLINEを「まだかな、まだかな」と、ずっと待ち続けているとき。
彼の仕事が忙しくて、いつものように、次のデートの予定をはぐらかされてしまうとき。
自分勝手な彼に翻弄されながら、それでも、いつか彼のほうから愛されたいと願っているとき。
こんなとき、耐え難い気持ちが湧き出してくる。
そんな気持ちを感じたくないと、何度思ってきたことでしょう。
自分の素直な気持ちをパートナーに伝えられたら、少しは楽になってくる。
でも、「我慢」がそれをせき止めてしまう。
そして、さらに苦しくなる。
彼が愛情表現が得意でないのなら、あなたの期待はなかなか満たされず、気持ちが不安定になります。
そればかりか、いつの間にか、彼に苦しめられていると感じるようになり、ますます「愛されていないのでは」と思ってしまう。
しかし残念ながら、こうした状況では、パートナーがあなたの我慢に気づいていないことがほとんどです。
むしろ、あなたの意図とは別に、彼はどこかで、あなたの期待というプレッシャーを感じています。
そして、少し逃げ腰になっている可能性すらあるのです。
結果、あなたの想いとは裏腹に、彼はあなたがしてほしいことから遠ざかってしまう。
あなたの心のなかで、こんな声がしていませんか。
「それって、やっぱり愛されていないってことじゃない──」
「もっとLINEしてほしいって伝えてしまったけど、逆効果なの?」
「こんなに思っているのに、どうして伝わらないんだろう」
いいえ、決してそうではありません。
あなたの要望は、彼にちゃんと届いているはずです。
期待は、口に出さなくても、態度や表情ににじむものですから。
それでも、彼は変わっていない。なぜでしょうか。
それは、その要望があなたにとってどれほど大切なことなのか──
その「気持ち」までは、まだ伝わっていないのかもしれません。
◆逆の立場で、想像してみる
もし彼が「今月は仕事が忙しくなるから、次にいつ会えるかわからない」とだけ言ったら、あなたはどう感じるでしょうか。
素直に受け容れられるでしょうか。
その言葉には「僕の都合を優先して、あなたに合わせてほしい」という響きがあります。
聞く側は、自分の気持ちが後回しにされたように感じ、どうしても抵抗が生まれてしまうのです。
けれど、その言葉は、あなたを後回しにしようとしたものでは、なかったのかもしれません。
彼の事情が、そう言わせただけなのです。
あなたにも、彼の要望に応えられないことは、ありませんか。
できる範囲のことは、応えてきました。だけど、合わせられないことだってあります。
そして、彼が気持ちを言葉にしてくれないことは──
あなたにとっての、限界なのです。
それは彼も同じ。
できることは、してくれているんじゃないでしょうか。そして、できないこともあるんです。
気持ちを言葉にすることは、彼にとっていちばん苦手なことなのかもしれません。
上手にできなくても、あなたを思っています。それが、彼の愛情表現なのです。
だからこそ、思い通りに動かないことも、言葉が届かないことも、愛がないこととは、違うのです。
つまり、届いていないのは、愛ではない。気持ちの伝え方のほうなのです。
◆気持ちの伝え方には、順番がある
想像してみてください。
もし彼が、疲れ果てた夜にこんなふうに打ち明けてきたら。
「今、仕事ですごくプレッシャーを感じているんだ。競争も激しくて、気を抜くこともできない。本当は辛いけど、逃げるわけにもいかない。余裕がなくて、次にいつ会えるのかもわからなくて、ごめん」
これは、彼が普段は隠しているネガティブな気持ちです。
けれど、そんな言葉を聞いたとき、あなたは「愛されていない」と感じるでしょうか。
きっとそれよりも、「力になりたい」「支えてあげたい」と思うのではないでしょうか。
ここで、あなた自身に置き換えてみてください。
一人で悩んでいるときに湧き上がる、不安や寂しさや心細さ。それはとても正直な感情です。
その気持ちを押し込めず、大切に扱って、彼にそのまま見せてもいいのです。
大切な人が苦しんでいるのを見たら、力になりたい。それは、あなたも同じではありませんか。
では、その気持ちを、どう伝えればいいのでしょうか。
本音と要望は違います。
本音とは、「私はいま、ここで、こう感じている」というもの。
要望とは、「あなたにこうしてほしい」というもの。
人の心が動くのは、まず本音に触れたときです。
本音が橋になり、その先で要望が届きやすくなります。
逆に、順番が逆だと、どうしても「ダメ出し」のように響いてしまうのです。
たとえば、こんなふうに。
「LINEがなくて不安になる。私、自分に自信がないから。夜になると、余計に心細くなるの。短くてもいいので、メッセージをもらえると助かる」
「今日はすごく寂しくて、会いたい。でも、伝えるのが怖くて、我慢してしまう。そんな自分が苦しい。だから、少し先でもいいから、次に会う日を決めてもらえたら嬉しい」
最初は「私はこう感じている」という本音から。
そして、そのあとに、小さな要望を一つだけ。
この順番です。
彼は、そんなあなたを見たことがないのではないでしょうか。
きっと、あなたが自分の気持ちを嫌っているからです。
「こんな気持ちは迷惑だ」と思って、彼に隠してきたのではないでしょうか。
でも、もし彼が、初めてあなたの素直な感情に触れたら。
そのとき、「愛したい」という力が、自然と湧いてくるかもしれません。
そして、あなたがずっと望んでいたこと。
彼があなたのために、愛を表現してくれること。
それが、まさにこういう瞬間から始まるのです。
◆感情を差し出す、小さな奇跡
私たちは、ネガティブな感情を「よくないもの」と嫌っています。
だからこそ、「こんな気持ちは見せてはいけない」と、自分の中に押し込めてしまう。パートナーにも、隠してしまいます。
パートナーもまた、同じようにネガティブな気持ちを隠して、ひとりで苦しんでいるのです。
その結果、気づかないうちに二人の間では「我慢比べ」が始まってしまいます。
そして、その我慢は、相手との溝を深めるだけなのです。
けれど、あなたが勇気を出してその感情を彼に差し出したとしたら、どうなるでしょう。
彼の心の中でも、「自分もこんなふうに気持ちを出していいんだ」という許可がおりていきます。
男性もまた、そうした深いレベルで、感情をシェアできるようになる。
そのとき、初めて自然に「愛」を表現できるようになるのです。
奇跡の正体は、これでした。あなたが自分の心を差し出すこと。
それだけで、相手の中の何かが、静かに動きはじめる。
奇跡は、相手を変えることからではなく、あなたが自分の心を差し出すことから始まります。
だから、全部を言わなくていいのです。うまく言えなくてもいい。一言でいい。
「今、私はこう感じている」と、それだけを手渡してみる。それだけで十分です。
奇跡を起こすのは、いつもあなたから。 そして、その力は、すでにあなたの中にあるのです。
笠井 大雅

